一夜明けて
吉岡ペペロ

昼には新幹線のなかにいた

各駅停車の新幹線だった

固くて煙草くさい客室だった

掲示板に流れるニュースを見つめていた

一夜明けても

首相から被災地へのメッセージはなかった

あったのは

原発の視察を行ったということだけだった

それが緊急性を伝えていた

がらんとした客室から

友人や親戚に電話で避難を呼びかけた

各駅停車の新幹線だった

固くて煙草くさい客室だった

掲示板が爆発を告げていた




自由詩 一夜明けて Copyright 吉岡ペペロ 2012-03-12 00:00:42
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