地下鉄の花占い
A道化




愚かにも駅の天井を何故
消化器官に似せてしまったのでしょう
そこでは、羽音震わす蛍光灯
その仄青い痙攣から逃れ切れず
静かに分裂した影の群れが
仄青く集う硝子、地下鉄のドア


常時夜を封じ込めた硝子へ
私が姿を一枚置き去りにしたら
開くドアがその姿を飲み込んでゆく
一枚、一枚
最後の一枚までの過程傍観するような
生活は冗長な占いです


左右対称だからと言って蝶ではないものばかり、その横溢を
正しく調節する為の、地下鉄のドア、地下鉄のドア、地下鉄のドア


上っても下っても落下音
響くコンクリートの階段がもしもピアノだとしても
調律しようがないほど
足音を落下させる姿、足音を落下させる姿の群れは
声にならず、歌でもなく、音でさえなく
ただ仄青く


占いの惰性により一枚一枚低速で致命する花弁の
ああ一体、何処に風情など見つけられるでしょう



2004.12.02.


自由詩 地下鉄の花占い Copyright A道化 2004-12-02 15:09:29
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