Another Setting
木立 悟





松の葉を踏む
鴉が
踏む
影の波
何の影か
わからない波


半分の鏡に
すべてが映ることの歪み
弦の音
空に昇る昼
ただ昼のままの昼
昼の昼


放る 放る
返すものなく
放る
渦のはじまりの指
白より早い



けだものの足音を
真昼は吸う
湿気の羽
巨きいもの さらにひらめくもの
街の終わりに立つ
小さく丸いひかり


ざくざくと
冬は耕す
水は明るく
踏まれても笑み
ほどこしは無く
あがないは無く


考える機械が考えを捨て
原のまんなかで踊るとき
裸の笑みや 笑みの輪は
たとえ何本もの槍に貫かれても
笑っているにちがいない
笑っているにちがいない

































自由詩 Another Setting Copyright 木立 悟 2012-03-06 20:16:18
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