忘れっぽいのも好都合
kauzak
乾いた砂が流れていく
ここは砂漠
ではなくて背景のない場所
光があふれているわけではない
のに白く抜けた背景
足元の黄味がかった砂の感触
だけがすべて
風に乗って運ばれてくる
この匂いは何だろう
懐かしいけれど
警戒せよ
との声が内側から湧いてきて
どうしてそんなことを思うのか
大事なことを忘れている
からなのか
分からないけれど
忘れてしまったからこそ
こんな背景が白く抜けた場所に
彷徨いこんだのかもしれないけれど
こんなにも心の内が
静かならば
このままでもいいかと
異常を正常と読み替えてみる
風が
どの方向から吹いてくるのかさえ
分かりはしないから