忘れっぽいのも好都合
kauzak

乾いた砂が流れていく
ここは砂漠
ではなくて背景のない場所

光があふれているわけではない
のに白く抜けた背景
足元の黄味がかった砂の感触
だけがすべて

風に乗って運ばれてくる
この匂いは何だろう
懐かしいけれど
警戒せよ
との声が内側から湧いてきて

どうしてそんなことを思うのか
大事なことを忘れている
からなのか
分からないけれど

忘れてしまったからこそ
こんな背景が白く抜けた場所に
彷徨いこんだのかもしれないけれど

こんなにも心の内が
静かならば
このままでもいいかと
異常を正常と読み替えてみる

風が
どの方向から吹いてくるのかさえ
分かりはしないから


自由詩 忘れっぽいのも好都合 Copyright kauzak 2012-03-05 23:02:59
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