夜の病院で
梅昆布茶
仄暗い廊下に時々夜の天使のように
夜勤看護師が羽ばたく
世の中で最も偉大で逞しい美しさが
老人達の
人生という点滴を
繋ぎとめにゆく
また鳴るナースコールは誰のための
子守唄なのだろう
天文学的な数のベッドは無限数列の愛で
きっと守られてゆくに違いない
もし僕がオムツやパジャマを替えてもらうなら
優しく辛抱強くちょっぴり初恋の娘ににたひとがいいな
だってさ死にゆくってことはさ
思い出の消去法なのだもの
君はいちばん最後に消したいのさ
そしてきょうも夜の病棟は
初恋の人の名が飛び交って
やさしいナーステイションからはナイトフライトの合図が
響き続ける