ゆめのなかだけです手が伸びるのは
佐伯黒子

もっともっとすばらしいゆめをみせてくれよ、と、
格好つけてわらう小鳥たちはわらわれる
おそいわよ、なんて言われたって
あなたのじかんとわたしのじかんはちがうなんてこと
はじめからわかってるんだから
知らない

いいでしょう。と。いいかなあ。
教えてくれなくってもいいから教えてくださいわたしは、
あなたのいったいなんなんでしょう
いえ
いえいえいえ
いえいえいえいえ
そうやって定義されることを一番恐れていたのは
そうですわたしです。ごめんなさい。
もっともっとまともなゆめになるとおもっていたのに
最終的にわたしはま、まける
いじわる。
なんでもっとはやくいってくれなかったんだ
そうとわかっていれば(おまえなんか
お、まえ、なんかす、てていたのに
折り紙みたいにぴしぴしに折ってたたんで
すてていたのによう
すてていたの、に、よ、)
もういちど聞いてもいいですか
もういちどその再生装置で
言ってくれませんか
なんだっていいから
さっきとちがうものでもいいから
もっともっとすばらしいことをのぞんだりしません
わたしは
(こころのなかではいつだって無意識に
ここよりもいいところはないかと探している
薄情なむすめなのですわたしはええそう
わかっていたのだからもちろんむかしから
)あなたがそこにいきているだけでいいの


それだけ
言ってみたいものだ


自由詩 ゆめのなかだけです手が伸びるのは Copyright 佐伯黒子 2012-03-04 02:11:02
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