ゆめのなかだけです手が伸びるのは
佐伯黒子
もっともっとすばらしいゆめをみせてくれよ、と、
格好つけてわらう小鳥たちはわらわれる
おそいわよ、なんて言われたって
あなたのじかんとわたしのじかんはちがうなんてこと
はじめからわかってるんだから
知らない
で
いいでしょう。と。いいかなあ。
教えてくれなくってもいいから教えてくださいわたしは、
あなたのいったいなんなんでしょう
いえ
いえいえいえ
いえいえいえいえ
そうやって定義されることを一番恐れていたのは
そうですわたしです。ごめんなさい。
もっともっとまともなゆめになるとおもっていたのに
最終的にわたしはま、まける
いじわる。
なんでもっとはやくいってくれなかったんだ
そうとわかっていれば(おまえなんか
お、まえ、なんかす、てていたのに
折り紙みたいにぴしぴしに折ってたたんで
すてていたのによう
すてていたの、に、よ、)
もういちど聞いてもいいですか
もういちどその再生装置で
言ってくれませんか
なんだっていいから
さっきとちがうものでもいいから
もっともっとすばらしいことをのぞんだりしません
わたしは
(こころのなかではいつだって無意識に
ここよりもいいところはないかと探している
薄情なむすめなのですわたしはええそう
わかっていたのだからもちろんむかしから
)あなたがそこにいきているだけでいいの
と
それだけ
言ってみたいものだ