春からの
オイタル

春からのぼくの目標
字を丁寧に書くこと
給食で野菜を食べること
それから
静かに絵を描くこと

暖房の音が
途切れず部屋を回っている
のを聞くこと
窓に雪の粉が
冷たく張り付いてる
のを遠まきに見ること
それから
疑わないで
中を覗き込んで
みること

今夜
道の両脇に積る雪が
女の腰みたいに
くねって
薄いシルクの突風が
すばやくなでていった
くるりと
踊るみたいに

空では背の高い木が
お化けみたいに重たく雪を冠って
屋根の上に貼りついている
その屋根にも
垂れさがるいっぱいの雪だ

僕は静かに絵を描いている
外でだれかが泣きだす
垂れさがる電線の間を
白い電車がこちらへやってきて
でも
やっぱりその誰かは
泣いている


自由詩 春からの Copyright オイタル 2012-03-03 22:43:44
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