もうそう
森未

「明日、学校が壊れてなくなる」
という妄想を
わたしたちは
一度は
みんな
するのです
そうして目を閉じれば
朝が来る
当然ですが
学校は
なくなりませんでした
しぶしぶ
足を運んでは
いつの間にか
忘れているその妄想を
また夜になっては思い出し
繰り返すのです

今だってわたしは
繰り返している
ああ
なくなっていればいい
なくなるはずはないのだけれど
身勝手な妄想の中でだけ
悲劇のヒロイン
現実は
あくせく働いて
気がつけば
帰宅時間
なくなっていればいい
なくなるはずはないのだけれど

結局のところは
ひだまりの匂いのするふとんの中で
ふわりと眠っていたいだけ
けれど
無理だって気づいているから
妄想と
現実のはざまで
もがきながら
なんとか生きている
ような
気がする


自由詩 もうそう Copyright 森未 2012-03-03 21:35:10
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