おいっ　お前
そこのお前だ！
お前は「世界」という単語を使って
詩を作っているだろう
だからいつまでたっても
ウダツがあがらないんだ
少し人に優しくされただけで
「世界は優しさでできている」とか
少し人に嫌われただけで
「世界は私を拒絶している」とか
凶悪犯罪が増えただけで
「世界は絶望の悲鳴を上げている」とか
何でも「世界」という単語を使って
詩を飾ろうとするんだろう
このバカタレがっ！
安直極まりない
そりゃあ楽だよなあ
「世界」って単語使うとさ
お前が把握した世の中の
全てを象徴する言葉だし
あわよくば
他の人に対しても
お前が把握した世の中と
思いを共有できるかもしれないっていう
期待を込められるってぇもんだよ
でも
だからダメなんだ安直なんだお手軽なんだ
安易なんだそして下らねえんだ
シケてるんだ安っぽいんだ
よく聞けそこのヘタレ詩人
「世界」なんて単語を使うな
「世界」という単語を使って詩を書くな
「世界」という単語を使って考えるな
「世界」という単語を形容するな
「世界」という単語をお前の象徴にするな
「世界」という単語を使って詩を書く子供はクソガキだ
「世界」という単語を使って詩を書く中年は糖尿病である
「世界」という単語を使って詩を書く老人は棺桶に片足突っ込んでいる
「世界」という単語を使って詩を書く男はみんなフニャチンである
「世界」という単語を使って詩を書く女はみんなクサレマンチョである
いいか
これを読んだお前
もう絶対使うんじゃねえぞ
「世界」という単語を使うんじゃねえぞ
使ったらバカだぞ軽蔑するぞ
クソ詩人の仲間入りだぞ

……以上は私が言ったことではなく
詩の王子様が言ったことです
私はどちらかというと皆さんと仲良くしたいんです
これからもよろしくね！