【 母ちゃんの唄 】
泡沫恋歌

母ちゃんと旅に出る
鞄に歯ブラシ、着替え、切符と
最後にわくわくを詰めて チャックを閉める

朝一番のバスに乗り込んだ
母ちゃんと座席に並んですわる
乗り物酔いの薬あるよ
切符は持ったかい?
酢昆布食べる?

いちいち、うるさいけど……
機嫌の良い母ちゃんは
古い唄を口ずさんでいる
わたしの知らない 
ずっとずっと昔の唄だね

呼吸器が止まった 心臓が止まった!
瞑目して動かない 母ちゃんが……
お医者さまが時計を見て時間を告げた
母ちゃんの時間が止まった
わたしは凝視したまんま……

昔、一緒に行った町を歩く
母ちゃんの思い出を辿りながら
心の中の母ちゃんとおしゃべりしながら
この旅から帰ったら

きっと わたし元気になるから……
母ちゃん もう心配しないで




自由詩 【 母ちゃんの唄 】 Copyright 泡沫恋歌 2012-03-02 06:19:17
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