ゴルゴンゾーラのバカヤロー 2
salco

耳の穴に鍍金メッキをしたら
面白い音響効果が得られそうだ
例えば割礼ようの通過儀礼として
ある宇宙人には耳孔加工の文化がある

嗅覚細胞も、必ずしも鼻腔になくてよい筈だ
耳殻同様、鼻が無い宇宙人は多いのではないか
呼吸孔自体、何も顔面にある必要はない
どこかしら神経で脳に連絡していればよい
(脳と近接しているに越した事はない、というのは思い込みである
 気管切開を見よ)

誤飲が起こるのは地球人の場合、気管と食道が近接しているからなので
口呼吸に機能的不都合はない
口腔が乾くぐらいのものだ
口内が乾いて唾液の分泌が減るとミュータント菌の繁殖が活発化するそうだが
口内環境の要請などいくらでも進化で対応できる
殺菌性の強アルカリ口腔とか
貝や歯科器具みたいに歯茎や口蓋からピューピュー水を吹く宇宙人も
いるだろう
大体、歯がエナメル質と象牙質でなければならない決まりは無い
木質などセルロース系もアリではないか?
虫歯にはならないが、防水とシロアリ対策が欠かせない
食生活によっては歯牙自体を必要としない宇宙人もいる

皮膚呼吸の深甚な高燃費星人などは体表全域で嗅いでいる
だから生活習慣上、匂いに鈍感で
地球人の雌が乳液やクリームを塗布するようにフレグランスの類を
びちゃびちゃ付けるのかも知れない
アメ車と同じく、見ようによっては野暮だ
ロココと同じく、見ようによっては不潔だ

肺胞も、胸腔にある必要はない
口腔の外側にあると効率的だ
両頬や耳下腺あたりが膨らんだり萎んだりする宇宙人もいる
金魚の腹部にある浮き袋に似ているかもしれない
「往復ビンタで絶命するほど脆弱な宇宙人」
つまりは天敵がいない環境での進化だ
 警戒心ゼロ
 闘争本能ほぼナシ
キウイーバードみたいなものだ
人間と出会ったら絶滅必至
 まずは雑菌とウィルス感染
 次には射幸心という無邪気な悪意
 もしくは友愛なる邪まな関係強要


大体が宇宙人をじん呼ばわりする中華思想が失礼だ
仮定される宇宙生物の中で脳がもっとも発達した種を
何の自己検証もせず
あたかも我々の亜種であるかのように見做すとは厚かましいことだ
彼らをヒトに類すると決めつけるのは
それこそ自惚れも甚だしい
地球人だって地球に属する動物なのだ
彼らが一見ブタやイカに似ていながらヒト呼ばわりするのは
いかがなものか
当然、「宇宙ゾウ似」「宇宙ガメ似」もいるだろう
人類だって彼らの分類では
例えば青系2754番星ペロリッチョかも知れない
ペロリッチョといえば
百十六光年彼方のンガドハヘ星ではツメダニ程度の下等動物である

だからこうした傲慢が自動的に働くのはお互いの無理解
もしくは無知の為せる技ともいえるが
他の惑星に属する動植物の中で自称「人間」に匹敵する、
又は凌駕する思考能力を持つ生物に対応する呼称が
この惑星では「宇宙人」しか見当たらない為に
私も便宜的に使用するしかないのである
語彙の貧困は、自称「人間」社会の思慮怠慢による推敲不足だ


骨格も、脳を発達させるには脊椎が必要なのだろうが
地球の哺乳動物に倣った形である必要はない
大気圧によっては歩行の必要さえないのだから

多指である理由もない
握力が強ければ二本指で充分だ(…ピース?)
それならフレキシブルドリル型の一本指もアリだろう(××××ユー)

生殖方法と生殖器については、今は考えたくない
気分的に面倒くさい
様態・形態が多過ぎるし
第一およそ地球人の考案で
ウディ・アレンの「ギンタマ」に勝るものがあるか?

食生活だって三大栄養素は必須でない
例えば鉱物や菌類を摂取する宇宙人もいる
地球動物だったら心停止するほど血中の鉄分が多いとか
ナトリウムや亜鉛が多いとか
サルモネラ似菌やデング熱似ウィルスが常在するとか
地球人だってゴルゴンゾーラを好んで食べる種類がいるのだ
あ、そいつらは私にとって既に宇宙人かもしれない

すると、私は納豆を食する宇宙人である
あれはどう考えても、洗っていない足指の股や臍の匂いに通じる
関西人が円かな白味噌を好むというのは多分
過発酵を嫌うのだろうが(白味噌は放っておくと赤になる)
というより食習慣上、無粋とカテゴライズするのだろうが
私は関東の納豆宇宙人だから
運子の匂いよりひどいというドリアンや
シュールストレミングを食する宇宙人の要請は
延長線上で理解できる
匂いも、むしろ嗅ぎたくなるのかもしれない
とも思う
もう一本延長線を接いで、ぐいっと曲げれば

でもゴルゴンゾーラを食する宇宙人についてはいまだ理解に苦しむ
まあ、所詮食べ物。文化摩擦を起こすほどのことではないにせよ
すると、シーシェパードの連中は悪辣なヒステリック宇宙人と言える
代理戦争ならまず捨て猫や捨て犬
捨て地球人の為にすべきだろう
そこには少なくとも当事者からの直接的な要請があるからだ
餅は餠屋、紺は紺屋、鯨は鯨屋に任せるがいい
どのみち地球人は何でも食らう生物だ
青カビ以外は
だからゴルゴンゾーラを食する地球人についてはいまだ理解に苦しむ
ま、所詮食べ物、文化摩擦を起こすほどのことではない
するとシーシェパードの連中は、(以下延々続く)


自由詩 ゴルゴンゾーラのバカヤロー 2 Copyright salco 2012-03-02 00:03:44
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