透明ランナー
森未


いつだって ゆうやけこやけが聞こえるまで
遊んで僕ら 走って帰る

足りないものだらけで
ほしいものだらけだったけれど
野球選手にだって
スパイにだって
ヒーローにだってなれた

いないなら
ないなら
作り出せばいい
9人いないなら
透明ランナー走らせよう
見えなくっても
見えていたもの
けれど
僕らにはもう見えない透明ランナー

野球選手にも
スパイにも
ヒーローにも僕らはなれないんだよ
ねえ
透明ランナー
僕らは何に気がついて
何を見失って
何を手放したんだろう

ねえ
透明ランナー
たくさんのものを置いてきた気がするけれど
離したくないんだ
小さな僕を
大事に握り締めて
まだ、行けるかな?
まだ走っていけそうかな


自由詩 透明ランナー Copyright 森未 2012-02-28 22:56:04
notebook Home 戻る