無記名の朝
高原漣
(遠景)
空に航跡
青い骸骨、と桜色の眼窩。
が、見ている土気色の梅。
ルドラークシャ・アーガシュクの季節がまた巡ってくる
(転回)
砂に足跡
れ、れろれ、ら、らら、れれろら……
乾いた風
(
シムーン
)
が女の黒い
外套
(
マント
)
をはためかせている。
それは
襤褸
(
らんる
)
の旗に似て
尾翼を天に向かって突き出した銀無垢の機体の
遺影を縁取る額縁か、あるいは聯隊旗のように
なぶられるままに、ゆらめいている
自由詩
無記名の朝
Copyright
高原漣
2012-02-28 22:53:03