瀬崎 虎彦

ふしぎなことだが
毎日雨が降り続いている
雨は濁流をつくって
市街地を走っている
市街地では人々が
右往左往している
夏からそのままになっている
南部鉄の風鈴が
軒下でずっと
雨を呼んでいる

こんなはずではなかった
もっとひとのために生き
堂々としていられる人生を
おくりたかったはずなのに
先に立たない後悔に
後ろ指を差されてここまで

雨は降り止むことがないようで
風鈴もいつしか水の底に呑まれるのではないか


自由詩Copyright 瀬崎 虎彦 2012-02-28 21:57:06
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