あたしばかだから
はるな

あたしばかだから
と言って
わらっていた
女の子

あたしばかだから
と言っても
泣きはしなかった

あたしばかだから
いっぱい考えるの
と言って
わらっていた

水たまりをとびこえたり
道ばたで踊りだしたり
かみなりの日に
アイスクリームを1キロ食べたり

あたしばかだから
くつ下はねいつも二足ずつ買うの
だってすぐなくしちゃうから

あたしばかだから
と言いながら
背すじはきれいに伸びていた
女の子

色とりどりに爪をぬっていた
きれいだねと言ったら
同じようにしてくれた

手をかざして
「虹色」

笑ってた

あたしばかだから、
って言ってた
わたしは
なんでばかじゃないよって
言ってあげなかったんだろう

「あたしばかだけど
うれしかったの
爪きれいだねって言われて
あたしねばかだから
うれしくさせてもらうと好きになっちゃうの
なんでもしてあげちゃうの
がんばれちゃうの
ごめんね
あたしばかでごめんね
うれしくさしてもらったのに
ごめんね」

そして
いなくなった
どこにも
あの笑がおも
爪も
虹も

わたしは
いまだに
かんがえている

ばかじゃないよ
と言うべきか
ばかでもいいよ

言うべきか


自由詩 あたしばかだから Copyright はるな 2012-02-26 01:26:56
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