ガラスの教室
吉岡ペペロ

ガラスだった

熱ければ溶けて

寒ければ縮んだ

落とせば割れるし

転がせばすぐ傷がついた

でもガラスは


中学のときかさばるし重たかったから

よくわざと教科書を忘れた

隣のともだちに見せて貰っていた

あまりに忘れてくるもんだから

ともだちは時々ぼくに見せるのを嫌がった

彼にはからだに不自由があった

スキー合宿には参加しなかった

おばさんにその話をした

その子スキー行かれへんのに、みんなと説明会聞いて、どんな気持ちやろねえ、

そんなこと考えたことなくて

ぼくは自分が恥ずかしくなった

ぼくはともだちにお土産を買った

どうせ素っ気ないだろうと覚悟して渡した

ところがとても喜んでくれた

なんどもなんどもお礼を言われた


ガラスだった

熱ければ溶けて

寒ければ縮んだ

落とせば割れるし

転がせばすぐ傷がついた

でもガラスは






自由詩 ガラスの教室 Copyright 吉岡ペペロ 2012-02-25 00:36:40
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