エンドマーク
片付かないページを見て
父親たちは 溜息をつき
母親たちは 腹を痛めた
子供たちは 首を切り
土くれを 青紫に染めた
毒を喰らう
毒を喰らう
おしまい、までたどり着くこと、
それが、生きる、ということ、死ぬ、ということ
計測した 計測している
海沿いのボウルが
海に浮かんだら
つるつるとして
太陽を反射して
輝かしい明日への
何よりのシンボルに変身する
見たことのないテレヴィジョン
消化されない緑
片付かない ページ
見開きにはしたなく逆立ちする 歴史
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叫び声はくぐもって よく聞こえない
さあホヲハリウナバラヘフミダサン
ヒラカナイ次のページ
既に終わっている
気付かずに
ギリギリと
ブックカバーを
細切れに
睡眠を
削って
それで
おしまい
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空間認識能力の向上について
8月1日 山の上にて
アフリカを思わせる悲しい目
すぐ隣の県で行われていることを仕事の合間に見かけて
↓
フラッシュバック
5月4日 21時オフィス街にて
メトロを抜けると喧騒はなく
ビルがでくのぼうのように立ち竦み並んでいて
私は立ち竦んだ
予め見ていた地図の明かりすら見分けのつかない節電でも誰も困っていない
困っているのは
水をたっぷり浴槽に溜めて
serviceの泡玉を溶かした
5月5日 11時霞ヶ関にて
降りたのは数人だった
看板はキラキラと動いていて手持ち無沙汰にしていた
(回想を終えて)
足で踏んだのは綺麗なコンクリートで
思いはかれるのは何もない
生きている目をただ見たか 見なかったか
それだけだ
…それだけのはなしだ
抽出した全てのサンプリングを知ることはとても難しい
悲劇を押し付けあうこともしたくはない
ただ
残酷なもしもについて
例えばあの日の霞ヶ関に
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「アン」リミテッドラヴ
がけっぷちだよ2012、勿体無い病Ver.
〜叩かれてもいい、わんぱくに育って欲しい〜
愛している
愛している、と、おもう
毎年桃と米を寄越す家、については
蝉の声が鈴虫のそれに変わっていて
風は冷たかったが着物の私には
まだまだ暑い日だった
あの向こうの人、を紹介された
40かよ
真面目な良い人よ
40のこどもは
40代だった父親の幼稚園参観で
惨めなのは薄々気付いているし
どうしたって穴は埋められないって
そんな会話を親切な隣町のばばあと交わしたのに
いつの間にか向こうだった人が
テーブルの向こうについている
イマドキ七三とかはやらねえよ、
隣町の役場勤めのその人は
真面目な顔をしてこちらを値踏みしている
…どうも、
と無言で会釈だけする
言っておくけど着物の私は演歌歌手のごとくだ
あんたよりは若いが、賞味期限すれっすれだ
じじいは丸太の腕をさすりながら笑顔になっているし
ばばあ(本物)までもがそんな感じだし
てめえら、と毒づく
今のうちに貰い手がないと一生一人だとか
別に一生一緒にいてくれやなんて誰にも頼みたくなんてねえし
そもそも発言内容が失礼千万だ
結婚したってあんたのとこの息子みたいに出てったら無意味じゃんと言いたかったけれど
それを言ったらこの片田舎で惨殺事件が発生しかねないので黙っているだけだ
導火線は私持ちなんだぞくそじじい
ご趣味は、と平凡な問いが来やがったので
私は平然と笑みを作りながら
「創作活動です」
と言い放ってやる
愛のない同性間に恋愛を描いてみたりとかな、げへへ
「どんな、」
ほらみろ、来たぞ
私はにやにやするが、じじいのにやにやがまだ残っている。
邪魔だ
「ええと」
じじいはひっこんでくれないか
私はじじいを見ながら思う
そもそもお見合いになんでこのじじいが絡んでくるんだろうな、
両親はどこいったんだ、
邪魔だ
愛している、
「恋愛物を」
じじいの顔色を結局窺いながらそう答えるしかなくて
愛しているなどこんなに容易く書けるのに
どうして否定はこんなにも容易くないのだろう
平凡な男と電話番号を交換したが
こちらからかけ直す事はなく
すぐに着信拒否設定にした
愛とはなんぞや。
大学生の頬を染めながら
上司を狡猾に笑わせながら
合コンのメールに丁重に断りを入れながら
何も手にしたくないのよ
形だけは大人の笑みで
手にする携帯電話
接続端子に爪を立てた
ちっとも優しくはないんだ
導火線に火をつけずに
覚悟がないだけ
スイッチを手にしたまま
項垂れてるだけ
また夏か