ためらい
たちばなまこと

何をためらっているの
細胞が覚えているでしょう
心が脈打つ度に感じないの
いのちを抱きたいのでしょう
肌が泣くほどに抱き合えばいいよ
後付けの科学は興味深いけれど
あなたはあなたをもっと
知るといい

街角にひとときの縁
おじいちゃんが顔をしわくちゃにして
大変だったね
がんばれよ
うちの孫も坊やぐらいでさ
かわいいもんよ
長生きしてて良かったよ
だからがんばれよ
そう言うよ

誰もが
もうがんばっているのはわかっている
けれど言いたい
子どものときに励まされた言葉だから

何を怯えているの
何をかくまっているの
みんな
おめでとう
良かったね
すてきだ
そう言うよ
だから
幸せを築けよ
ためらわず両手で抱き留めて
離すなよ
自慢して歩けよ
叫べよ
いのちの匂いを知ってしまった私が
尊敬するあなたたちへ贈る
ためらい




自由詩 ためらい Copyright たちばなまこと 2012-02-22 10:25:06
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