羅睺震芯
木立 悟
空は短く
銀の上に立ち
冬は冬をめがけ来る
次々と次々と突き刺さる
次々と次々と遠去かる
夕陽に押され
倒れる鉄骨
北の北を向いている
冬の指の
影だけが動く
目を喰いしばり
夜を見つめた
あらゆるはじまりが
鳴りひびいた
寒い星をころがし
まぶしくなり
夜は静かに
夜を隠す
そこだけの
その時だけの鈴が鳴る
痛みと風
冬と歩幅
手に遊ぶ羽
涙に還り
鉄色の午後
道に落ちる
片目の分だけ振り返り
原を原にまたたかせ
轢かれたものが得るはずだったものを
白く巨きな夜に咲かせる
ひとつの指にあふれあふれ
ひとつの指に空おいはらい
なにもかもがなにもかもである日々が
ひとつの指に落雷るのを見る