それは繰り返すことの美しさに似ていた
中山 マキ






今、私の目の前に存在するネジを巻いたら
昨日西永福の駅で私に舌打ちをした中年と
再び会えるのだろうか。

もしそれが叶うのであれば
私は迷うことなくネジを巻いて
その中年の右頬目掛けて拳を振り上げ
周囲の人間が振り返る前に
またネジを巻き戻して今の世界に戻ってくるよ。

復讐は色とりどりで
器用に人間を駄目にするけれど
とても甘美ということを皆知ってる。
嗚呼、だけれどどれだけの人々の精神世界で
私は罵倒され、握りつぶされているのだろう。

ひたすら歩き続ける井の頭通りを
浜田山の境を僅かに逸れて
僕と君の違いってやつを
セレブリティというものを形にして
私は毎日のように探しているんだ。

正しさや間違いなんてどうでもよくて
自分だけが肯定出来るなら肯定し続ける
それを青春と誰かが呼ぶように
私は決まったように眠って起きる。

それはそれは繰り返すことの美しさによく似ていて
確実に人間を盲目にするけれど
とても安全ということを皆知ってる。
嗚呼、だけれどどれだけの人々が精神世界で
何かを生み出す力を、信じ続けていられるのだろう。




自由詩 それは繰り返すことの美しさに似ていた Copyright 中山 マキ 2012-02-21 11:35:40
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