週刊少年
しもつき七

目を刺す金色、完璧な夕方、漫画雑誌の白黒



まずそうな紙の上で女の子が笑ってる。明朝体でしゃべるのが逆に
ポップ。あらかじめ用意された運命がめぐる毎週、終わる前提の世
界で、それでも恋があって、正当じゃない理由で戦争とかが起こる。


ページをめくる。きみの微笑で指が黒ばむ。


好きな女の子は毎日、駅名にもたれて電車を待つ。絞めやすそうな
首傾げて、つまらないのかそうでもないのか微妙な顔して、たまに
血眼。黒髪、唇、雰囲気だけであとは普通。モブだけどヒロイン。


きみは垂直に交わった線分のあちら側に居て、なんだかとても遠い、
地の果てに立っているような、目をしている。絵になる、そして文
学になる、使命を負ってしまった女の子の、「あざとい台詞」。


狂ったようにきみを見ない。脳裏にびっしりの文字。


想像する。あの太陽のオレンジ絞って、瞳の容量いっぱいに飛び込
む柑橘で、もう二度とそのまぶたは開かない。きみの匂いとインク
の臭いと甘酸っぱい香りと、制服のスカートのひらめき。


逆光

唇にとびちる果汁、薄くひらいてめらめら光り、吸い込まれるとそ
こは異世界で、きみによく似た戦う女の子の手をにぎってる。
頬は赤く、こどものような眼差しで、立っている。


自由詩 週刊少年 Copyright しもつき七 2012-02-20 21:34:43
notebook Home