駝鳥
……とある蛙




物言わぬ駝鳥の目
遙か目の先には地平線がある筈なのだが、
駝鳥は相変わらず地面を見つめせつせと虫を啄む。
せつせせつせと虫を啄む
危険を感じたとき駝鳥は首を長くして遙か遠方を睨む。
丁度我々が僥倖を期待するのと同じ仕草で危険を確認する。
駝鳥の危険は異化された幸せなのだ。
普通に食事を摂ることと
まつたく別の世界の幸せは
駝鳥にとって危険だ。
だから何時も首を伸ばしてビクビクしている。
駝鳥のほんとの幸せは眼下に逃げる虫を啄む日常
同じ事の繰り返し。退屈なことの繰り返し





自由詩 駝鳥 Copyright ……とある蛙 2012-02-20 10:20:11
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