手が汚れては本が読めない
RT



真夜中の洗面台で
ぶくぶく石鹸を泡立てる

洗っても洗っても
落ちないのです

どんなにすすいでも
臭うのです

手をよく拭いて
今度こそと本を手に取る

やはり開かない

私は何をしてしまったのだろう
こんなに怒らせてしまう心当たりが
まるでない

手のひらを見つめる
匂いを嗅いでみる

塊になってしまった本の
内側は
どれほど傷ついているのだろう

私の手が
犯した罪とはなんだろう




自由詩 手が汚れては本が読めない Copyright RT 2012-02-19 21:43:13
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