七次元目のチャイム
しもつき七




最近のまぼろしって精巧だから、きっときみを欺きます。


友だちや恋人がある日突然、人造人間にされても気付かない。
体育終わって空見上げる女の子、おでこのナンバリングに汗が垂れ
ている。斜向かいの彼女もこっそり配線を束ねてる。なんにもない
わたしだった。西日さす教室で、国家機密にぎって、知らないふり
でスカートたくしあげて笑う。夕立の匂いがしてる。


戦略はない。戦うだけ。ノートのすみの怪獣みたいに、学校に火を
吐くよ。 わたしの架空はわたしだけの、共有できないもの。そうい
うことだから、ほんとうに燃えるわけはない、ただわたしたち熱い
日々のなかに立っているんだ。灼熱地獄にいることないよ。もっと
寒いばしょへいこうよ。



容赦ない太陽の爆撃がみんなをつらぬいてた。だれもいない校庭は
あまりにも静か。きみがそうっと近づいてくる。コントロールされ
た雨量で夏がくる。のばされる腕、そのskin。世界滅亡のイントロ
ダクション、iPodからきこえてる。(音楽がないと生きていけない
なんてうそ。でも、確かに、ドレミファ、で日々は到来する。
明日も。)



敗れない。わたしはまけない。居眠りしているうちに、みんな死ん
じゃった。でも大丈夫。この文字のかたまりが、金属になって武器
になる。何時限目かのチャイム、鼓膜を、破きそう。



夕日、楕円、クレヨンの赤だけ擦り付けたようなあの円!
彼女の愛、わたしの憧憬、なにも間違っていないから、訂正できな
い赤点、叫びだしてる空が、断続的に光をうみ、何もまちがえてい
ない、地平はいつだって角度を変えて、ここにたどり着いてる



アイスクリーム片手にべとべとの夕暮れ。わたしあんまりたくさん
のことを知らない、ゆえに試験勉強をしなくちゃいけなく、有機化
合物、相同染色体、雲をかすめて隕石が、東の空にキンと光ってた


自由詩 七次元目のチャイム Copyright しもつき七 2012-02-19 20:30:39
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