最近のまぼろしって精巧だから、きっときみを欺きます。
友だちや恋人がある日突然、人造人間にされても気付かない。
体育終わって空見上げる女の子、おでこのナンバリングに汗が垂れ
ている。斜向かいの彼女もこっそり配線を束ねてる。なんにもない
わたしだった。西日さす教室で、国家機密にぎって、知らないふり
でスカートたくしあげて笑う。夕立の匂いがしてる。
戦略はない。戦うだけ。ノートのすみの怪獣みたいに、学校に火を
吐くよ。 わたしの架空はわたしだけの、共有できないもの。そうい
うことだから、ほんとうに燃えるわけはない、ただわたしたち熱い
日々のなかに立っているんだ。灼熱地獄にいることないよ。もっと
寒いばしょへいこうよ。
容赦ない太陽の爆撃がみんなをつらぬいてた。だれもいない校庭は
あまりにも静か。きみがそうっと近づいてくる。コントロールされ
た雨量で夏がくる。のばされる腕、そのskin。世界滅亡のイントロ
ダクション、iPodからきこえてる。(音楽がないと生きていけない
なんてうそ。でも、確かに、ドレミファ、で日々は到来する。
明日も。)
敗れない。わたしはまけない。居眠りしているうちに、みんな死ん
じゃった。でも大丈夫。この文字のかたまりが、金属になって武器
になる。何時限目かのチャイム、鼓膜を、破きそう。
夕日、楕円、クレヨンの赤だけ擦り付けたようなあの円!
彼女の愛、わたしの憧憬、なにも間違っていないから、訂正できな
い赤点、叫びだしてる空が、断続的に光をうみ、何もまちがえてい
ない、地平はいつだって角度を変えて、ここにたどり着いてる
アイスクリーム片手にべとべとの夕暮れ。わたしあんまりたくさん
のことを知らない、ゆえに試験勉強をしなくちゃいけなく、有機化
合物、相同染色体、雲をかすめて隕石が、東の空にキンと光ってた