指先
理来

頬杖をつく
頬杖をついたところに魚が生まれる
机の地図をそよがす尾びれ
三秒とたたず
世界を跳ねまわっている
少し寒い(少しでなくとも寒い)冬の日は
暖房のスイッチへ泳ぎ着く
小銭がたまれば貯金箱へ
時には本の背表紙へ
魚は文字をなぞることが好きで
雲を数えることが好きで
写真の顔をつつくことが好きで
たいていひとり寂しい
冬であってもそうでなくても
こいつはたいてい触れたがっている
先週、(100円ショップで)手袋とかいう恋人を見つけたそうで
一緒にぬくぬくやってるみたいだ


自由詩 指先 Copyright 理来 2012-02-19 16:36:21
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