真犯人
HAL

死神は深い森の中で魂を喰って生きている
奴は言う
美味い魂もあるが不味い魂もあると

私は訊く
どんな魂が美味く
どんな魂が不味いのかと

奴は答える
善なるものの魂は美味く
悪なるものの魂は不味い

私は問う
それをどうやって見分けるのかと

奴は言う
喰ってみなくちゃ分からない
人間っていう生き物は
一見善なるものに見えても
喰ってみると吐きそうな位
不味いものがある
とくに女にはそんな魂が多い

そして奴は続ける
俺にだって一口喰ってみるまで
見分けがつかないんだ
それをお前等がそいつの本性まで
分かると思うのか
とくに美味い女の魂と不味い女の魂が
見分けられると思うのか
だから人間って奴は馬鹿なんだ
愚の骨頂なんだ

さらに奴は続ける
でもな俺はただの味見役なんだ
お前等が崇め奉るものが
俺が美味いと告げた魂だけを
嬉々として喰っているんだと

奴は言うのを辞めない
俺はいつもその不味い残り物の
魂だけを喰わされているんだと

そして最後に小さな言葉を投げつけて
美味い魂を捜しに向かった
その言葉はこうだった

分かるよな 誰がお前等を
喰いものにしているかの真犯人が



※作者より
女性蔑視の意思はまったくありません。ただの言葉の綾です。とくに女性の方々、 誤解・曲解をなさらない様にお願いします。


自由詩 真犯人 Copyright HAL 2012-02-19 10:33:02
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