俳句・習作 1
壮佑
頭痛
倦怠が成層圏から降ってきた
うっすらと頭痛呑み込むパスタかな
氷床の軋む音する頭痛かな
頭痛飛び地球を巡り海に墜つ
雨
生まれ落ちて何回目の雨の日か
雨音のなか遠ざかる人も無し
誰の忌か雨の浜辺に閉じる貝
雨だれが月の巌に響いてる
雨だれは生まれてポタリすぐに死ぬ
雨だれとじゃれるピエロのオルゴール
雨だれと振り子時計とピエロの子
雨の日や海底を這うクラーケン
雨の日に蠅がぶつかる潜望鏡
雷雲や巨大な足が都市を踏む
雨上がり海星は月に弓を引く
梨食えばからだの中を雨が降る
ポラリス
君の香に渦巻きほどく銀河かな
北斗七星の右心室で鳴る古弦琴
シリウスの左心室で打つDTM
行く春やポラリス型原潜浮上せり
くすのきの梢に架かるポラリスよ
頭蓋に棲むポラリスは夜空にも
ポラリスの黒きノイズを捕獲せり
ポラリスや女は山で身籠りぬ