冬のオリーブ
いねむり猫

オリーブの高い枝に取り残した実に
真冬の鳥たちが 激しい羽音をたてて

秋の収穫期の黒い実に 鳥たちは関心がなかった
寒さで 苦味が和らいでいるのか

銀白色のオリーブの葉影に 鳥たちが集まり

枝を剪定し忘れたラベンダーの茂みには 足長蜂たちが冬眠している

野生化したオキザリスの群生した花では
 小さな虫たちが つかの間のやすらぎを得ている

小さな庭に住み着いていたカナヘビの一家は、
まちこがれる春に また 卵を孵すだろうか

冬の小さな庭に ひしめく たくさんの世界
ゆるくつながりながら 互いを知らない隣人たち
それぞれが風に耐え 
命を守ることに集中する


葉のさざめきに
高いオリーブの枝先を見上げると
すじ雲の間から鈍い日差しがこぼれている

厳しい寒冷前線が
大気を引き締めて 高く共鳴する


自由詩 冬のオリーブ Copyright いねむり猫 2012-02-18 19:42:57
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