手にとれない 不足
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ひどい仕打ちよ
お前じゃない
と言われ続けても
愛想笑いをしていることに
二千円の価値はあったのか
泣いていた
黙って 一言も発することなく
今はただ(三分間でいいから
抱き合っていたい
夜食ができあがるまで



(推定)四二歳児は汚物を垂れ流す
わたしにかまわず
周りにかまわず
誰かの悪口を排泄しては
悦に浸る
(嘔吐物を処理するあなたのうつくしさよ
わたしは
目をそらす
聞かないふりをする
表情は一切変えない
坊やの悲痛な叫びを受け止めてしまえば
たちまちわたしも汚物の一部となって
身体は溶けだし
どろん と
行き場もなく漂うのだろう
(ゆるして

だけど すこしさみしいんだ

 みんな
 そんな
 めをしていた




あれはいったいどこだったのだろう
渋谷か新宿
汚い街の
汚い風俗街で
(顔はみえない)わたしの愛する人と
ただ抱き合っている夢をみた
確かな腕の力 感触が
生々しく(しかしそれは生き生きとした意識
朝の光と共鳴した

(幸福だった)
(幸福の海
 おだやかで やさしいということだけ
 わかっている)

(だけど すこしさみしいんだ)



涙を

流しても

また

今日は

日常

悪意の

日常






自由詩 手にとれない 不足 Copyright c 2012-02-18 01:42:14
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