接続先
梅昆布茶
デリカのハイル−フが僕の儚い夢を載せて走っていたあのころ
僕は孤独だった
家族に見捨てられて行き場のない猫のように彷徨っていた
はしごをはずされた愛という幻想を必死で回復しようとしていたのかもしれない
人生の奈落なんてこんな程度ではないとわかっていながら
空走していた
日給月給の労働を外国人労働者たちとしていた
陽気な仲間といてもやはり孤独だった
仲良くしていたトルコ人の若者に言われた
故国をはなれてる僕たちよりもあなたはさびしいってね
たしかにそうだね宇宙一孤独だって思っていたもの
休みの日にはパラグアイの日系2世の竹内くんやブラジル人のフランキ−なんかとフリマによく出店したっけ
気を紛らわせるためにね
でもまあそれなりに楽しい日々でもあったね
様々なところで様々な人に会った
日本人外国人ずるい人優しい人値切り倒す人泥棒
なんか人間の展示会みたいだったな
僕にとっては祝祭日だったんだね
もちろん採算なんてとれるわけもないし
でも出かける家族のいないぼくにとってけっこう慰めにはなったのだ
人肌のぬくもりをわすれないためにもね
僕の回路はたぶん心と体を経由して他人とつながっている
寸断されてもそれは常に接続を模索してゆくもの
さて今日の接続先は誰なんだろうかね
また新たな接続を
この回路は求めているんだね
それとも接続先はありませんという冷たい言葉で
却下されるのだろうか