見知らぬ街2
……とある蛙

鳥も帰らぬ街の残骸
その真上にも空が拡がる
空には厚い黒雲が犇めき(ひし)
雲の凹凸にたくさんの泣き顔が
泣き出す雨の一粒一粒が
いのちのかけらであったため
泣き出す雨に佇んだ
涙袋が途方に暮れた
生き残った涙袋
いつになったら雨上がり
いつになったら晴れわたる

遙か彼方の山の中腹
矮小化された箱船の残骸
漁港に繋留される船はない。
舫に繋がれた船はない
いつになるのか雨上り
いつになるのか晴れの日は
虹は本当に架かるのか
見当つかずに立ち竦む
それを遠くで眺める者も
手を拱いて途方に暮れる

それでも港は人が住み
目をそむけ残骸の
あれから何かが変わったのだろうか
残骸の見積もり一つできていない。
あれから何かが変わったのだろうか。


自由詩 見知らぬ街2 Copyright ……とある蛙 2012-02-16 18:28:48
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