程程
AquArium

ほどほどが欲しい

ポタポタ滴る水がコップをいっぱいにするように
ゆっくり、確実に、注いでいけたら
横取りしていく渇いたランナーを怖がらなくていいし
急に溢れ出して倒れてしまう君を見なくてもいいのに

ほどほどが欲しい

容積だって大きくないのに
蛇口をひねる絶妙の感覚に欠けているから
肝心な君を潤すことができないし
零れた水が途端に氷点下になっていく

ほどほどが欲しい

いつだってちょうどいい強さで
触れていたくて
傷を残してしまうのをとても怖がり
産毛にさえ触れられない

ほどほどが欲しい

そっと撫でるだけでよかったのに
握り潰してしまって
隣を歩くだけでよかったのに
右斜め後ろからじっと見つめていて

ほどほどが欲しい

少なすぎて渇いてしまう
多すぎて流れ出てしまう
せめて器のサイズを
自由自在に変える力をください

ほどほどが欲しい

ほどほどが欲しい

ほどほどが欲しい


自由詩 程程 Copyright AquArium 2012-02-15 00:57:55
notebook Home 戻る