『やわらかな四角』
あおい満月

いつからだろう
わたしがわたしに
なれてしまったのは

やわらかなしかくい世界で
まるくなったとしても
とがってみたとしても
しかくはしかくで
いつか見た
水族館のイルカショーのプールの水しぶきのように
弾けだすことは出来なくて

たとえ弾けだしたとして
この手でなにが
出来るのだろう

望みは、
太陽に翳すだけでは
息吹くことはない
踏み出すことで
はじめて息をする
わたしはわたしの
望みに
息吹を吹き込みたい

求めないことを知るために
いくつもの場面が
砂のように
掴んでいった記憶が
通りすぎたけれど
かわらなければ
流れないものがある

やわらかなしかくのなかにいても
わたしはかわることが出来る
たとえば手渡すものや
かけるささやかな言葉のように


                      二〇一二年二月十四日(火)


自由詩 『やわらかな四角』 Copyright あおい満月 2012-02-14 21:01:45
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