冬の扉
草野春心




  真夜中
  あなたは赤い花弁に
  最後の口づけを済ませ
  ぼくの背中に取り付けられた
  古い扉を抜けてゆく



  そこから先が
  本物の冬
  煙草を吸いながらぼくは
  北風があなたの
  後ろ髪を揺らすのを見送る
  それがぼくたちの
  左様ならの形





自由詩 冬の扉 Copyright 草野春心 2012-02-13 21:09:35
notebook Home