そっと優しく
永乃ゆち

あなたの選ぶ人がなぜ私じゃないんだろう。

あなたに出逢うと分かっていれば
私誰も愛したりしない。
誰とも抱き合ったりなんてしない。

息をする事さえ忘れてしまいそう。

私が選ばれない理由は
きっととても単純で
とても複雑。

そして残酷。

あなたが他の誰かを選ぶなんて
考えたくない。

あなたに出逢ってもなお
私誰にもなれないでいる。
その他大勢ならば
誰にもなりたくはないけれど。

愛が成さない為に
命を賭してしまうのは

きっととても崇高で
とても下世話。

そしてよくある話。


あなたはどんな気持ちも持っていて良いと言った。

不埒なこの思いも苦しまず許してあげてと言った。

でもねそんな事。

あなたに言われたくなかった。

あなたを思い続ける事は
長距離を全力疾走し続ける事のようです。

明日居なくなるかもしれないと言う気持ちで
今日を一緒に生きたいから。

どうか脇目も振らず
あなただけを愛したいから。


だからあなたが。

あなたが同じ気持ちならば良かったのに。

髪の毛の先から
爪の先まで
総てあなたであれば良かったのに。

私溢れかえるように
私むせ返るように
ただ一筋愛をして
それはやがて柔らかく
割れてしまった。

さようなら愛しい人。

今も愛は止まないけれど。

さようなら最後の人。

明日も私生きるのだけど。


思い出なんかにはしない。

私一生走り続けて
倒れるまで走って

あなたの愛の名のもとに
あなたへの愛だけの姿で

そっと優しく

終わらせたいの。


自由詩 そっと優しく Copyright 永乃ゆち 2012-02-12 02:12:53
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