雨の下
やや

人混みでぶつかる肩々目だけが合わない


添え木して 何とか立ってる やじろべえ


蝋燭が削れる音がずっと、ずっと


眠る前バイバイと言う私の子


焦点の端でものを売る本屋


ニュアンスの衣を剥いで素揚げする


どの子等も瞳は最初は青いらしい


挨拶をすれば子供は拐われる


泣きぼくろ指でなぞると淡く光る


背骨のカーブ階段にして昇る空


真夜中の逆剥けそっと舐める猫


夏はまだ あのままでいる 白黒赤


蛍光灯毛穴を塞ぐ石灰じみて


夏日の真下落ちた蜜蜂点点と


朝焼けに言い訳ばかり探す人





* * * * *




「」額縁から外す日々


生まれ以来 凍えています キシキシと鳴る


私だけずうっと見えない影の元


兄弟が私に見えないものを見る


笑うこと それ自体が言い訳で


ごめんなさいと言われる度に火が消える


わたしじゅう 軋んで傷んで ギギギギギ


下を向き 視界の端に入れる世界


嫌いにしか理由を付けることのない


意識だけ沈んで体少し浮く


まぶたうら青い小さな町がある


母親になりたかったなりたくなかった


完全に至らないのでなれない身


両肺が呼吸の仕方を忘れてく


どこにでも行けると思える嘘ならば


両腕で片腕ずつ掴む夜


私には私以外しか見えなくて


世界一 優しい雨の 下にいます


川柳 雨の下 Copyright やや 2012-02-11 22:40:04
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