思ひつく儘 自意識
……とある蛙

蜘蛛の糸で宙吊りにされた意識が
朦朧として微風に揺れる
埃だらけの部屋の片隅に
宙吊りにされた自意識
窓枠は皹割れ
硝子に結露は無いが曇つてゐる
窓から差し込む悲劇は
眼球からの映像として焦点を結ぶが
認識すべき視神経の接合部分(シナップス)に
アルカロイド系の過去が
不気味な粘菌となって
へばりついてゐる
判断ではなく断定
言葉にするのもおぞましく
何を言つても修飾語の洪水で
脳内の過剰な放電によつて
発作状態に陥り
白目を剥いて泡吹き出す

蜘蛛の糸に宙吊りにされた意識が
置き去りにされた肉体を
眺めてゐる
ただ眺めてゐる。


自由詩 思ひつく儘 自意識 Copyright ……とある蛙 2012-02-11 14:15:43
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