色と声
たちばなまこと
はじめての電話口での溜め息は
恥じらいながら憧れの色
「何色か聴いてみたいなきみの声」
「歌った声に似ているみたい」
話す声は低いのに不思議だよね
愛(かな)しがる声は高くなるの
ねえわかったよ昂れば声の帯
高い母音を響くかたちに
陽に照らされて声こぼす笑い皺
眩んで閉じる瞼に緋色
いにしえの振る舞いを真似歌にする
潔い色重ね重ねる
短歌
色と声
Copyright
たちばなまこと
2012-02-10 10:30:50