次郎先生のこと
板谷みきょう

残念だけれども
それじゃあ福祉は
成り立たないんだよ!

君が言った、受け容れられない性格や
相性が合わないことを理由にして
園生の世話は
相性の合う人に任せるといい
って話だけど

君が受け持ちたくない人は
みんなも
受け持ちたくはないんだよ

誰もが嫌がる人を引き受けたり
誰もが嫌がることを行う気持ちこそが
福祉なんだよ。

次郎先生は
大声を出すこともなく
穏やかに笑顔で話してくれた

あの時
ボクは、身が持たなくなって
心が折れてしまっていた
そして
逃げ出すように山奥の施設を辞めた

行き場のない障碍を抱えた人に
自宅までも開放し
共同生活をした次郎先生

次郎先生は
今も、槇の木学園施設長として
活動している


自由詩 次郎先生のこと Copyright 板谷みきょう 2012-02-08 14:01:40
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