氷物語
そらの珊瑚

 透明の氷の中に泡ひとつ 
         がりりと噛んで恋を終わらす

 川に咲く半透明の氷花 
         いきつく海で碧い実となる

 大切なものを氷結してみます
         春になったら取り出せるよう

 アンデスの山々にある氷柱を
         手で切り出すのが仕事なのです

 ふうわりと積もった雪もふところに
         隠し持ってる氷のヤイバ

 あの頃の私はたぶん氷食症
         冷えても冷えても足りない気がした

 老いてなお美しくあれ氷人間
         ゆるい体温アイなどほしくもない


短歌 氷物語 Copyright そらの珊瑚 2012-02-06 20:27:29
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夢見る頃を過ぎても(短歌)