既製品
マフラーマン
バスガイドのお姉さんが
窓の外の一点を指して
あすこに見える工場の群れは
一年中休まず働いておるんですよ
と言った
あそこでは
昼も夜も絶え間なく
正義と悪をびん詰めにして
世界中に出荷している
地球に人類が生まれたときから
工場の群れは水平線のかなたで
近づけども近づけども遠のいていく
あの水平線のずっと向こうの消失点で
いつだって夕陽を受けて燃えてきたのだろう
バスはずっと海沿いを走っている
工場は今も
びん詰めの正義と悪を
私たちが死に絶えるまで
自由詩
既製品
Copyright
マフラーマン
2012-02-05 18:49:08