ミドリの子犬
三原千尋

あなたは十分美しいのに
なぜ生き物を殺しますか
あなたの細く白いその手を
ぼくの赤い血で染めますか

ぼくはマフ ミドリの子犬
勇気と知恵を受け継ぐ子犬
パパママじいちゃんばあちゃんご先祖
人を助け愛しともに生きてきた

ミドリの毛皮は勇気のあかし
愛するご主人守り抜く
ミドリの毛皮に秘めたこころざし
愛するご主人支え助ける

ぼくのご主人 美しいもの愛し
「美しければすべて正しい」
目に見えない心 はなから無視
ミドリの毛皮のえりまき欲しがり


「いいこと?マフ あなたはこのわたくしの
えりまきになるのですから 傷一つつけぬよう
大切に大切にしてあげるわ
いつか殺す その日まで」


あなたは十分美しいのに
なぜ生き物を殺しますか
白百合のように可憐なその手を
罪と悲しみで染めますか

ぼくはマフ ミドリの子犬
愛するために生まれた子犬
死骸になるため生まれたんじゃない
人を助け愛しともに生きたい

あなたは十分美しいのに
なぜ生き物を殺しますか
あなたの細く白いその手に
殺しや残虐は似合わない

ぼくはマフ ミドリの子犬
勇気と知恵を受け継ぐ子犬
目には見えない魂の輝き
赤い血と罪で染めないで


「美しければすべて 正しい
そのためならわたくしは罪も罰も恐れない
ねえ マフ 恨みなさい 憎みなさい
おお 神よ どうかこのわたくしを地獄に堕としたもう
美しければすべて正しい
わたくしはすべて解っている
とうに覚悟は出来ている
目に見える美しいもののためなら
わたくしは悪魔にだってなってみせる」


自由詩 ミドリの子犬 Copyright 三原千尋 2012-02-05 10:12:59
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