月光をグラスに落として
まーつん

月光をグラスに落として
バーボンを注ぐ
舌の上に
冷たく燃える
冬の夜のエッセンス

庭先で
君の幻と踊る
その虚ろで
優しさに満ちた微笑み
白いガウンの下で
その身体は
磨りガラスの様に
霧の様に
透いて

木々は目覚める
僕らの熱に触れて

草は立ち上がる
僕らの息に触れて

夜露をはじいて
緑の背骨を
しなやかに反らせて

君が どんなに遠くにいても
今 その欠片が この腕の中
その笑みは 僕を出迎える 故郷の入り口
その瞳は 僕を洗い清める 泉の潤い

口移しに
冷たく燃える月光を
君の中に注ぎ込む
研ぎ澄まされた夜の孤独を
分かち合うために


自由詩 月光をグラスに落として Copyright まーつん 2012-02-03 23:05:38
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