ロックンロール
はだいろ


「あなたのアイデンティティはどこにありますか?」

という、
質問というか、アンケートの結果が、
ネットに出ていたのを、
こないだ見たら、
「国家」だとか、
「会社」とか「大学」とか、
そうゆうひとが絶対多数で、
ぼくは、
実に素朴に、驚いた。


アイデンティティという言葉の意味が、
もうひとつわからなかったのもあるけれど、
「帰属意識」だとか、
「所属意識」だとか、
そういう意味だろうと思う。
そうすると、あんなにほとんどの人が、
国という概念だとか、
出身校だとか、
勤めている会社だとかに、
帰属意識を持っているのかと思うと、
ぼくには、
にわかには信じられないような、
他人との距離を感じてしまう。


今日は、あまりにも、
ひどく疲れる、クレームや、
恩を仇で返されるような、
ことをされても、
ぼくはじっと我慢というか、
もっともっと大きくものを考えようと、
努力した、
職場の一日だった。


そして、こんな日は、
もちろん、仕事の帰りに、
お茶の水のディスクユニオンに寄って、
レコードを一枚、買って帰る。
ロックンロールのレコードを買うことを、
自分に許可する。
おおいに、推奨する。
今日買ったレコードは、
Flamin groovies/Shake some action
1976年、デイヴエドモンズプロデュースのUSオリジナル盤、
税込み1890円である。


ぼくのアイデンティティは、
ロックンロールにある。
ぼくは、ロックンロールという領域の住人である。
他には何もない。
国境も学校も職業も年齢も性別も性癖も関係ない。
ロックンロールのあるところ、
ぼくの友達の、
ぼくの仲間のいるところだ。


帰ってから、
彼女に電話する。
明日、IKEAに行こうね、という約束をする。
よくよく考えたら、
まだいっしょには住んでいないけれど、
彼女ではなくて、
妻だった。








自由詩 ロックンロール Copyright はだいろ 2012-02-03 21:22:13
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