ヘイドペラジックダブ
魚屋スイソ

青いビニール袋を頭にかぶった集団が
夜明けを瓶につめて持ち運んでいるのを
プールサイドの金網の隙間からのぞいている

底に沈んだラジカセのまわりには
人体模型を改造してつくった爆弾が設置されていて
わたしたちはあたらしい呼吸のしかたを考えながら
かけつけた解体班がダンスをはじめるかどうかを賭けているのだった

ぬれたセーラー服の裾をしぼると
かつてサイバーだったものたちがつぎつぎにパンクして
静脈と動脈を交互に発光させ
学校をディスコと勘違いして徘徊するようになるため
駆除隊は武装を強いられているが
酸素ボンベの供給がまにあっていないらしい

無数の端子が接続先をもとめ
カラフルな電線をのばしてゆれている

わたしはあなたをころすかわりに
肺にメタリックなみずをためこんで
宇宙人ごっこのつづきをするから
むかしの発明品をおもいだすふりをして
なにもいわずに侵略されてほしい

スピーカーがつめたい遊びをはじめる

深海魚のような機械が群れを成して
わたしのからだをすりぬけていく


自由詩 ヘイドペラジックダブ Copyright 魚屋スイソ 2012-02-03 05:54:03
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