もしも神に出合ったら
まーつん

もしも神に出会ったら

すがり付くだろうか
狂った歯車を止めてくれと

飛びかかるだろうか
生きる痛みの責めを負えと

それとも

お茶に招くだろうか
穏やかな春の午後に

鏡のように凪いだ庭園の泉には
長い脚の片方を小粋に曲げて
白い羽を纏った鳥が佇む
その岸辺に据えた
白いテーブルを囲んで

神は多分 古い麻のローヴをまとって
縮れた黒い長髪が 穏やかに風になびいて
僕は紅茶を啜りながら 彼の計画について尋ねる
彼は薄汚れた身体を 光輝で包みながら 静かに答える

彼は多分 こう答える
゛なるようになるさ゛ と

そんな感じになるといい
叫びも すすり泣きもなく
隣近所の住人と 語り合う時の様に
川の流れについて 風の行方について

人の栄光
砂上の楼閣
天空の砂時計
その静かな滴り

世界は音もなく
埋没していく
時の漏斗の
渦の底に



自由詩 もしも神に出合ったら Copyright まーつん 2012-02-03 00:05:58
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