空に消えていく
千波 一也


ため息を
つきたいがための
ため息に、くもる窓

渦巻く言葉の上辺には
夢を、
夢らしいものを、
夢と呼んで安らぐものを
もとめた日々が
静寂している



ゼロにも満たない
意気地はようやく、今
プラスマイナスの
境目を見る

明日のために
出来ることとは何だろう
今日のためを思って
築いたことなど
あっただろうか


空を
見あげる者を
通過するだけの
風はいつも、冷たくて

すべもないのに
空はただ、かならずの
空だった



温め合えた時代の陰に
遠ざけ合える絆が
あった


相反する思いはみんな
限りなく透明な
ひとつずつ、


やがて
ほどかれ
空に消えていく



色を
もたない尊厳は
いまも昔も眠りのさなか

それゆえ
人は術に溺れやすい、
のだろう



始まりの日は螺旋の底で
終わりも何ら変わらない

私が
こうして
語る言葉も
やがては空に消えていく

うっすら、
きれいに、
何事にも等しく







自由詩 空に消えていく Copyright 千波 一也 2012-01-31 20:35:04
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