詩のおさかな
nonya


最初に
魚影がよぎる

同時に
背骨が見つかることもあるが
大抵は時間がかかる

次に
尻尾が見つかるが
順番が逆の時もある

頭はどうでも良い
後で取って付ければ良いのだ

そして
もっとも辛気臭い作業
背骨に小骨をくくりつける
おさかならしく見せるために
左の脳味噌を少しだけ使うのがミソ

ただし
この工程で馬鹿馬鹿しくなって
投げ出してしまうことも多多ある

骨が組めたら
上から魚肉を巻いていく
本当は赤身がふさわしいのだが
ほんのりと脂がのっていたほうが
艶っぽいかもしれない

ちなみに
鰓や心臓や肝臓なんかは
やたらに生臭くなるから
意識するだけで充分だけれど
浮き袋くらいはあっても良いかなあ

仕上げに
見映えのする鱗と
お洒落あるいはヤクザな
背鰭と胸鰭と腹鰭を取り付ければ

なんとなく
おさかなの
出来上がり




自由詩 詩のおさかな Copyright nonya 2012-01-30 21:25:18
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