詩のおさかな
nonya
最初に
魚影がよぎる
同時に
背骨が見つかることもあるが
大抵は時間がかかる
次に
尻尾が見つかるが
順番が逆の時もある
頭はどうでも良い
後で取って付ければ良いのだ
そして
もっとも辛気臭い作業
背骨に小骨をくくりつける
おさかならしく見せるために
左の脳味噌を少しだけ使うのがミソ
ただし
この工程で馬鹿馬鹿しくなって
投げ出してしまうことも多多ある
骨が組めたら
上から魚肉を巻いていく
本当は赤身がふさわしいのだが
ほんのりと脂がのっていたほうが
艶っぽいかもしれない
ちなみに
鰓や心臓や肝臓なんかは
やたらに生臭くなるから
意識するだけで充分だけれど
浮き袋くらいはあっても良いかなあ
仕上げに
見映えのする鱗と
お洒落あるいはヤクザな
背鰭と胸鰭と腹鰭を取り付ければ
なんとなく
おさかなの
出来上がり