Image(冬)連
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食べる 食べる 私は食べる
鬼か 悪魔か
私は今日もヒト狩りに向かい
心を いくつもの心を
捕らえてくる

汚れたテーブルの皿に
煮込まれた心が
盛られている
様々な心は
東から上り、西へと沈む
陽と同じように
輝いては
山の向こうに
隠れれば
輝きを失う
そんな朝五時に起きて
まずすることは薬を飲むこと


 Imago(?)

隣に寝ている人は
私の知らない影であり空虚

乾いているのは
時が折り重なったから

大切な告白を
人に頼んでしまったことへの
淡い後悔が未来を塞いでいる

小さな世間も生き切れない私に
何ができるだろう?
「死ね」と吐く怪物が現れた
伝え聞いていたものにょは違う怪物の姿は
雨、秋の雨雲


Imago(?)

電車は本来の姿である巨大な鉄の塊としての
本性をむき出しにして
こちらに向かって走ってくる
走り抜けるとき、空気の震えが
最高潮に達し、静止していられないほどの
轟音を発する。

そこはステーション

エスカレータで上っても天国には届かない。
静寂と孤独と静謐
渡すはずだったネックレスは燃えないゴミに
混ぜて捨てることにした

 沈黙−硬直−離脱

それは俺じゃない
早く燃やしてしまえ
その骸はたたり顔をしている

 「たたり顔、たたり顔」

化膿した怪物の傷から漏れる嗚咽
怪物は暴れ始める

清流で産まれた子供たちは
淀みと混沌の下流へと旅立つ日が来ることを
知らない

旅人とともに季節は変わってゆく
旅人は自販機でダイエットコーラを買う
旅人は買われてゆく
そしていくばくかの駄賃を手に入れる
旅人の生計はそうやって立てられている


Faith ― 寺院と教会

変わった花が咲いている
大人の男の背丈よりも高い茎の上に
ラッパのようなピンク色の花がついている
彼女らは水面を蹴って駆けてゆく
それはまるで飛んでいるかのように

港では猫がうろついている
時折姿をを現し、何もないと悟ると
また浦に隠れてしまう

ただ歩いているだけでも十分だ
土手に腰を下ろしているうちに
雲は流れていく
その瞬間を以前見た気がするのは
気のせいではないと確信する
私は時折未来を感覚する

冬のからっ風のブランコに乗って
私は飛び立とうと画策する
貧弱な鉄の馬は速度という欲望を
満たしてはくれない

 欲望
 血が沸き立つような熱
 狂熱

いくつもの
   輪のような
呼吸の
   連なりが
全てを
   象っていく
その中を
   通り抜けるものは
孤独な
   凍結
混然としたものの中から
   釣り上げられた
河豚は
   大きく腹を膨らまし
浮かび上がろうと
   必死だ

与えられた棲家に
耐えられなくなったとき
旅立ちの鐘が鳴る
黒塗りのアスファルトの上を
歩き続ければ
目の前の坂を上りきれば
私の陰と貴方の日向が
結ばれる
蝶々のように
舞い上がる青い宙
やってくる子等に
与えし宝
新しい怪物は
新しい児を
祝福する
連環される探り手を
捕まえる


 Imago(?)

きれいに磨かれた歯も
おいしく御飯を頂くたびに
汚れていく
罪を重ねるように怠惰を重ねれば
私は汚れていくだろう
デバッガに摘み取られなかった
誤ったコードが
セカイを終わらせる
気付きもしないうちに
執行されているのだ
もう振り子も止まってしまった
振動しなくなった水晶は
時を刻むのをやめてしまう
融通のきかないアリクイたちば
獏と間違えられたことに怒り
戦争を起こした


自由詩 Image(冬)連 Copyright within 2012-01-30 17:04:54
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